SynologyNASのDSM7.2でOpenVPNを設定する

カフェやショッピングセンターなどで利用できる公衆wifiを安全に使うために、自宅にあるSynologyNASにVPN(Virtual Private Natework)サーバーを導入します。

VPN Serverを提供しているサービスは複数(NordVPNExpressVPN)ありますが、安定したVPN Serverは有料であることが多いです。一方で、SynologyNASを利用すれば無料で構築できます

今回は、OpenVPNを利用してフルトンネル式のVPN接続を構築します。

※事前にDDNSの設定が必要なので、DDNSを設定していない場合は下記の記事を参考に設定してください。

DSM上でOpenVPN用のユーザーを作成

セキュリティの観点から、OpenVPN用のユーザをDSM上で作成します。このユーザには最低限の権限しか与えないようにします。

DSMにログインして、「コントロールパネル」→「ユーザ」に移動して、OpenVPN用のユーザを作成します。ユーザを作成するときには、アプリケーションの権限を与えないようにします。

VPN Serverパッケージをインストール

DSM上からパッケージセンターをひらき、「VPN Server」と検索します。Synology社が公式で公開しているパッケージがあるので、インストールしましょう。

VPN Serverの設定と設定ファイルのエクスポート

OpenVPN接続するために必要な設定を行っていきます。

まず、VPN Serverアプリケーションを開き、「全般設定」タブに移動し、「新しく追加したローカルユーザにVPN権を与える」のチェックボックスをオフにします。

次に、「特権」タブに移動して、先に作成したOpenVPN用のユーザにのみ、OpenVPNの権限を与えます。下記の例ではopenvpnユーザにのみOpenVPNの権限を与えています。

次に、「OpenVPN」タブに移動して、下記の通り設定していきます。基本的にデフォルトの設定値でよいですが、ポート番号は変更しておいたほうが良いかもしれません。

また、「クライアントにサーバーのLANにアクセスさせる」にチェックしてください。これにチェックを入れていないと、フルトンネル式の通信になりません。

設定値を変更したら、「適用」ボタンを押して、「エクスポート設定」ボタンをクリックしてください。設定ファイルを含むZipファイルがダウンロードされます

ルーターでポートフォワーディングの設定を行う

ここは、各自が利用しているルーターごとに画面が異なります。上記で設定したポートに対して、SynologyNASにフォワーディングするように設定してください。

下記の記事に設定の例があるので、ポートフォワーディングの設定がよくわからない方は、下記の記事の該当部分を読んでみてください。

OpenVPNの設定ファイルを編集する

DSMからダウンロードしたVPNConfig.ovpnファイルを編集して、SynologyNASを通したフルトンネル式のVPN接続を実現させます。変更は合計三か所になります。

SynologyNASのドメイン名の設定

4行目のYOUR_SERVER_IPに、DDNSのホスト名を指定します。ホスト名の後ろは、自分で設定したポート番号になります。

BEFORE
     1  dev tun
     2  tls-client
     3
     4  remote YOUR_SERVER_IP 1195 <-- ココ

AFTER
     1  dev tun
     2  tls-client
     3
     4  remote <your_ddns_domain>.synology.me 1195 <-- ココ

接続形式をフルトンネル式へ

フルトンネル式のVPN接続をするために、redirect-gateway def1のコメントアウトを外します。

BEFORE
    14  # If redirect-gateway is enabled, the client will redirect it's
    15  # default network gateway through the VPN.
    16  # It means the VPN connection will firstly connect to the VPN Server
    17  # and then to the internet.
    18  # (Please refer to the manual of OpenVPN for more information.)
    19
    20  # redirect-gateway def1 <-- ココ

AFTER
    14  # If redirect-gateway is enabled, the client will redirect it's
    15  # default network gateway through the VPN.
    16  # It means the VPN connection will firstly connect to the VPN Server
    17  # and then to the internet.
    18  # (Please refer to the manual of OpenVPN for more information.)
    19
    20  redirect-gateway def1 <-- ココ

DHCPサーバの指定

自分は、DHCPサーバはルーターが提供しているものを利用しているので、デフォルトゲートウェイ(192.168.1.1)を指定しています。もし、自前でDHCPサーバを運用している場合、そちらを指定してください。

BEFORE
   22  # dhcp-option DNS: To set primary domain name server address.
    23  # Repeat this option to set secondary DNS server addresses.
    24
    25  #dhcp-option DNS DNS_IP_ADDRESS <-- ココ

AFTER
    22  # dhcp-option DNS: To set primary domain name server address.
    23  # Repeat this option to set secondary DNS server addresses.
    24
    25  dhcp-option DNS 192.168.1.1 <-- ココ

OpenVPN GUIのインストール

OpenVPNの公式サイトからクライアントツールをインストールします。各自の環境にあったバージョンをダウンロードしてください。

ダウンロードサイト:http://openvpn.net/index.php/open-source/downloads.html

VPNの接続

インストールしたOpenVPNアプリケーションを開いて、編集したVPNconfig.ovpnをインポートします。DSM上で作成したOpenVPN用のユーザ名とパスワードでVPN接続ができれば、VPN接続は完了です。

LAN外からVPN接続を行い、tracerouteコマンドなどで、通信が自宅のLANを経由していることを確認しましょう。

まとめ

この記事では、SynologyNASでフルトンネル式のOpenVPN接続を行う方法を紹介しました。SynologyNASさえ持っていれば、無料でプライベートなVPNサーバーを簡単に構築できるので、非常におすすめです。

公衆wifiを使うことがあり、セキュリティを強化したい方はぜひ設定を行ってみてください。

  • この記事を書いた人

たかさん

犬と暮らすクラウドエンジニア。GCPが好きだけど良く触るのはAWSとAzureです。

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